




いちばん初めに保育社の本を買ったのはカラーブックスの「金魚」(初版昭和38年)です。まだ幼少のみぎり(笑)、金魚に興味をもって本屋さんに行って、自分で選びました。その次に買ったのが「世界のミニカー」(初版昭和42年)です。小学校の3、4年ですかね。当時、文庫本サイズのお手ごろな値段で、「しかもカラーで印刷しているのがある」と嬉々として買いましたよ。
その後、学生になるにつれて、「標準原色図鑑」(絶版)そして「原色図鑑」へと発展していくわけです。私は身の回りにいる生き物などの名前がわからないままだと気持ちが悪くてしょうがないんです。いや、気持ちが悪いっていうよりも、「その生き物たちに対して失礼だ」なんて思っちゃうんです。だからたった1種類の名前を調べるために図鑑を1冊買うなんてこともありますよ。そのなかで保育社さんの図鑑が知らず知らずのうちにそろっていったのでしょう。

保育社の図鑑の魅力というのは、詳しさもさることながらそのラインナップの広さですね。最初は「昆虫」の図鑑から入るとしますよね。それが「甲虫」や「蝶類」「蛾類」というふうに広がり、さらに「幼虫」の図鑑にまで広がっていく。湧きあがってくる知りたい欲求に対してラインナップがされているところ、こちら側の好奇心を受け止めてくれるところが保育社の図鑑のよさです。
いっぽうで図鑑がきっかけで、自分の興味が広がることもあります。「原色日本蛾類幼虫図鑑」ってありますよね。蛾ですよ。成虫でもナンギなのに「幼虫」(笑)。でもその図鑑を見たときに蛾の幼虫への興味がパーッと広がりました。それまで見かけた蛾の幼虫を同定(生物の分類上の種名を決定すること)しようとまでは思わなかったのですが、この図鑑があればそれができる。そんな図鑑があることによって、自分の興味が広がることもあるのです。


保育社の図鑑は写真だけでなく、多くのイラストが使われていますね。自分が絵を描くことを職業としてから、改めて見ると、この1冊の図鑑を仕上げるにはいったいいくらイラスト料がかかっているんだろう?と思います。イラスト1点1点に掛かる労力を考えるとすごいものがあります。
「図鑑はすべての既知種を網羅していなければならない」としたら、完成形を作ることは非常にむずかしいですね。でも保育社さんにはいつかは完成形を突き詰めていただきたいと思います。